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People Story
2023.08執筆
若林 純平さん
People Story
2023.08執筆
キャスト:レストラン

若林 純平さん

就労継続支援B型事業所「ユニバーサル・ラボ」
Profile
若林 純平さん

大阪府出身の24歳。子どもの頃に発症した病気がきっかけで車いす生活を送る。もともと食べることに興味があり、高校卒業後の進路を模索する中で、リハビリの先生からル・クロの存在を教えられ、就労継続支援B型事業所「ユニバーサル・ラボ」への入所を決意。オフタイムは好きなアニメを楽しむ。

「食べることが好き」その思いを胸に

純平さんは、子どもの頃に発症した病気によって歩行に困難をきたすようになり、14歳から車いす生活を送っています。 高校3年生になり進路を考えた時、最初に心に浮かんだのは「料理に関わる仕事がしたい」ということでした。もともと食べることが好きで、自宅でも時折自炊をしていた純平さん。調理が学べる大学や専門学校に見学に行ってみましたが、車いすの学生を迎え入れる体制が整っていない現実が、ハードルとなって立ちはだかりました。

「あちこちに段差もあって車いすで学ぶのはむずかしそうでした。足に装具をつければ立ち仕事もできるけど、長時間は厳しいので……」。

そんなある日、レストラン「ル・クロ」が福祉作業所を運営していることを、訪問リハビリの先生から教わったことがきっかけで、体験会に訪れた純平さん。高校卒業後はここで働こう、と入所を決めました。通勤は、自宅のある郊外から2つの電車を乗り継いで片道約1時間ほど。

「慣れるまでは大変だったけど、今は大丈夫。天満橋には大きい本屋があって、たまに寄り道したりするのが楽しいです」。

レストランを支える「縁の下の力持ち」として

「一番最初に覚えた仕事は、パートブリックづくりだったかな。レストランで出しているウニのムースに添えるやつです。これまでいろんな仕事をやりましたけど、とくにむずかしかったのは、うーん、なんやろ、フロランタン(焼き菓子)かな。麺棒で生地をムラなく伸ばすのがむずかしくて」。

実は、純平さんが入所した2019年当時、車いすのキャストを受け入れるのは作業所にとっても初めての経験でした。そこで支援員が純平さんと一緒になって、ひとつひとつの作業を行いながら動線を確認。必要に応じて通路を広げたりレイアウトを変えるなど、試行錯誤が続きました。
そのおかげで、現在「ル・クロ」の厨房は、デザートの作業スペースまでは車いすが入れるようになっています。たまに見学に訪れる人が、車いすで作業する純平さんの姿を見て「わあ」と驚くこともしばしばです。

そうやって徐々に仕事に慣れていった純平さん。3年目になると「鶏のコンフィ」の仕込みなど、本格的フランス料理の技術もマスター。初めて教わる料理はノートに取って覚えるのだそうで、作り方を尋ねると「まず骨つき肉にフルールドセルときび砂糖を刷り込んでからラップしてひと晩おいて、それから……」と、手順がスラスラと口から出てきます。

これからはA型での就労や接客サービスにも挑戦したい

入所して4年が経った今、純平さんには新たな目標が生まれています。それはA型で働くことと、接客サービスを覚えること。実は現在「ル・クロ」には、車いすでホールサービスを担当している女性キャストがいます。小まわりのきく電動車いすで俊敏な動きを見せる彼女の姿は、周囲の誰もに「車いすでもこんなにやれるんだ」という驚きと自信を与えました。

そこで純平さんも、彼女のような電動車いすを試乗用に取り寄せてみたり、ランチタイムに練習がてらホールに出て、料理や水を運んだりと、少しずつトライアルを始めています。

「まだ自分に何が向いてるかはわからないけど、とりあえず、”やってみ”って言われたことはやってみたいし、いつかは一人暮らしもしてみたい」。
シャイで口数は少ないけれど、その言葉にはしっかりした力がこもっていました。

若林 純平さん
若林 純平さんが所属している
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※2023年08月時点
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